実際のレースで大変なことは何ですか?実際のレース、ピットワークに向けてどのようなトレーニングを行っていますか?ピットワークは大きなプレッシャーがあるかと思いますが、そのためのメンタルトレーニングなのでしょうか?トレーニング以外に普段どんな業務をされていますか?前述のような整備作業の中で、これは欠かせないといった工具があれば教えてください。様々な準備を経てレースに臨まれている訳ですが、どのような時に喜びを感じますか?メカニックの皆さんが「これは伝えたい!」ということはありますか? 夏場に行われるRd.2からRd.6頃までは、暑さとの戦いです。ピットワークの際は安全のために耐火服とヘルメットを着用するんですが、当然身体に熱がこもりやすくなり、その状態で力仕事を行うので体力を激しく消耗します。特に火災リスクの高い給油・消火器の担当者は、耐火インナーやフルフェイスのヘルメットなどを着用するため装備が厳重で大変です。またレースそのものに関して言えば、レース前のウォームアップ走行~スタートまでは忙しいですが、レース中は比較的落ち着いて展開を見守っています。ただ、緊急ピットインなどが発生することもあり『レース中トイレには行きにくい…』ということもあります。タイヤ交換や給油といったピットワークの練習に加えて、筋力トレーニングも行っています。筋力トレーニングでは主に体幹を鍛えるメニューを中心に行っています。実際ピットワークでは中腰で作業することが多いため、特に背筋などを鍛えています。ただ筋肉をつければよいだけでなく、俊敏に動かなければいけないのがレースメカニックの特徴ですので、身体が重くならないようなメニューを組んでいます。また夏のレースに向けては暑さ対策も重点的に行っており、暖房をつけた部屋で耐火服・マスク・ヘルメットを着用し、より本番に近い環境でのトレーニングにも励んでいます。その他にもレース本番でハイパフォーマンスを発揮できるようにメンタルトレーニングにも取り組んでいます。プレッシャー、緊張に対処するというよりもレース中は興奮状態になるので、自分の心拍数を一番体の動きやすい心拍数にコントロールできるようにトレーニングをしています。普段のレース中もピットワークの直前は呼吸法で心拍数をコントロールしています。一番効果が出るのはピットワークの場面ですが、そうしたトレーニングを日々行うことで普段の気の持ち方から前向きになれます。レース後、まずはマシンを整備場に戻し、エンジン・ミッション・サスペンションなどを全て外しモノコックだけの状態にします。マシンがZに変わってからはドアやフロントウインドウ、ルーフも取り外しています。その後、各ユニット毎に担当のメカニックが全て分解・清掃・チェック・摩耗部分を交換し、再び車両として組み立てます。組み上がったらエンジンをかけ、各部作動チェックし、次のレース向けにマシンのセッティングを調整して搬出します。このような作業をイベント間隔に合わせて、2~3週間ルーティンで行っています。その他にもピットで使用する機材の新規製作・修理・改修、ピットワークのトレーニング、性能向上に関わる実験業務などを行っています。レーシングカーはミリとインチ両方のボルトを使っているので、ソケットやレンチは両方揃えています。またトルクレンチは10N~750Nまで幅広く必要なので、複数使い分けています。こだわりの工具は『分かる人には…』という感じなのですが、タイラップの頭が平面になるよう切れるニッパーですね。頭から切断面が飛び出していると作業している際に皮膚を傷つけてしまうので。やっぱりレースに勝った時が一番うれしいと思います。シリーズチャンピオンを獲れた時は涙物です!またレースの結果が悪くても、毎回トラブルなくキチンと走り切る車を用意出来ている事が喜びになります。現在はYoutubeでもレースを観られるので、まずは気軽にレースを観てもらいたいです。そして興味を持った方は、是非サーキットまで足を延ばしてみてください。レーシングカーからは様々な音や匂いが出ていて、我々メカニックはそこから異常を見つけることもあります。ぜひサーキットで生の音・振動・匂いなどを皆さんにも味わってもらいたいと思っています。チームひとりひとりの日々の努力が3号車NiterraMOTULZの活躍に繋がっていることを、この取材で改めて感じることができました。年間王者獲得に向け、3号車NiterraMOTULZへの応援、よろしくお願いいたします!トレーナーの指導の下、トレーニングする姿は正にアスリート…!3号車を囲むメカニックの皆さん。後ろには千代選手、高星選手の姿も。チーフメカニックの島本さんとスパーキー。いつも可愛がって頂き、ありがとうございます!05NITTOKU NEWSスパーキーが取材! ピット作業メカニックのお仕事徹底解剖
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